おもしろいことはおもしろい(シヤンとフグとヂヤズ)。
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・片輪同志で濡れてゆく
ぬれてはたらいてゐるは鮮人
ぬれてひとりごというて狂人《キチガヒ》
・それは私の顔だつた鏡つめたく
日記焼き捨てる火であたゝまる
あんまり早う焼き捨てる日記の灰となつた
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今宵も我慢しきれなくなつて、ドブ一杯、シヨウチユウ一杯、その二杯の最大能力を発揮させて寝る、どうぞ明日は降つてくれるなよ、昨夜はよう寝られたのに、今夜はどうしても寝つかれない、十二時過ぎるまで読んだ、読物はみんな友からの贈物である。
しぐれの音が聞える、まつたく世間師殺しの天候だ、宵のうちに、隣室の土工さんが、やれ/\やつと食ふだけは儲けて来た、土方殺すにや刃物はいらぬ、雨が三日降りやみな殺し、と自棄口調で唄つてゐたのを思ひだす、私だつて御同様、わがふところは秋の風どころぢやない、大時化のスツカラカンだ。
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旅のみなし児砂糖なめてゐる
寄りそうてだあまつて旅のみなし児は
旅の子供はひとりでメンコうつてゐる
□
・久しぶり逢つた秋のふぐと汁(源三郎居)
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