枯枝をのばしてゐる。
朝酒、何といふうまさだらう、いゝ機嫌で、昧々さんをひつぱりだして散歩する、そして宇平居へおしかけて昼酒、また散歩、塩風呂にはいり二丘居を訪ね、筑紫亭でみつぐり会の句会、フグチリでさん/″\飲んで饒舌つた、句会は遠慮のない親しみふかいものだつた。
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 晴れてくれさうな八ツ手の花
・朝、万年青の赤さがあつた
 しぐるゝや供養されてゐる
・土蔵そのそばの柚の実も(福沢先生旧邸)
・すゝき一株も植ゑてある(  〃   )
 座るよりよい石塔を見つけた(宇平居)
 これが河豚かと食べてゐる(筑紫亭句会)
・河豚鍋食べつくして別れた(  〃  )
・ならんで尿する空が暗い
 世渡りが下手くそな菊が咲きだした(闘牛児からの来信に答へて)
 芙蓉実となつたあなたをおもふ(     〃     )
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枕許に、水といつしよに酒がおいてあるには恐縮した、有難いよりも勿躰なかつた(昧々さんの人柄を語るに最もふさはしい事実だ)。

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春風秋雨 花開草枯
自性自愚 歩々仏土

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メイ僧のメンかぶらうとあ
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