、未就学児童が、御免々々といふのは何としても嬉しくない)。
山々樹々の紅葉黄葉、深浅とり/″\、段々畠の色彩もうつくしい、自然の恩恵、人間の力。
このあたりは行人が稀で、自動車はめつたに通らない、願はくは風景のいゝところには山路だけあれ、車道を拓くべからずだ!
頬白、百舌鳥、鵯、等々、小鳥の歌はいゝなあ。
どこへいつても道路がよくひらかけ[#「け」に「マヽ」の注記]てゐるのに感謝する、そして道路の事だつたら道路工夫にお訊ねなさい、其地方の道路については彼はよく知つてゐる、そしてよく教へてくれる、決して田舎の爺さん婆さんに道路のことを訊くものぢやない、なあに二里か三里だよといふ、労れた旅人に二里か三里かは大した相違ぢやないか、彼等はよくいふ、ついそこだといふ、そのついそこだが五丁の時もあり、十丁の時もあり、一里の時もないことはない、まあ仕方のない時は小学生の上級生に訊ねると、大した間違はない、もつとも、そこの停車場を知らない生徒もないではないが(因みにいふ、その地方の山の名、川の名を知つてゐる地方人が稀なのにはいつも驚かされる)。
今日の道はよかつたが、下津留附が[#「附が」に「マヽ」の
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