るから、それが故に高いのだといい得ると思うのであります。絵でありましてもやはり美術品であります。建造物でありましてもやはり美術品であります。それから能書で、弘法大師の書がよいとか、小野道風《おののとうふう》の書がよいというのも、やはりこれも美術品であります。美術以外になんにもありませぬ。そういうふうに陶磁も美術価値があるのであります。それが故に他の美術品と比較いたしまして、美術価値上比較的に考えます時に五万とか、十万とか、三十万とかいう相場がおのずからつくのだと私は考えております。同じ茶碗でありましても一円のもあります。五十銭のもあります。それから現今生まれておりますところの茶碗では十銭位からでもありましょう。それから高いのになりますと二十円とか、三十円とかいうのもあります。なぜそんなに違うのか、それは今のもので考えます時には、いろいろなやはり都合がありましたり、作者とか、販売者とかの策動がありましたり、いろいろのかけ引きがありまして一円のものが二十円になり、三十円になりしているようなこともありますが、古いものでは遠い昔のことでありますから篩《ふるい》にかかって公平な値段がつけられてお
前へ
次へ
全20ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北大路 魯山人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング