古陶磁の価値
――東京上野松坂屋楼上にて――
北大路魯山人
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)喋《しゃべ》れ
−−
展覧会のことはただいまお聞きのとおりでございますから繰り返して申し上げませぬが、私に喋《しゃべ》れといわれましたことは、古陶磁はなぜそんなに尊いかということをいってくれというお話でありましたので、それをうまく申すことは出来ないと思いますが、まあ簡単にそれをいえるだけ申し上げてみたいと思っております。
それで私の察するところ古陶磁はなぜ尊いかということは、一つの茶碗で一万円のもあり、五万円のもあり、十万円のもあり、また三十八万円という驚くべきものもあります。そういうふうに土で出来た焼物が高いということは、一体どういうわけでそんなに高いのであろう、分らない者からいうとてんでわけが分らない。なにかれそれは引っかかって病的な趣味になっているのじゃないかというような疑問もないとはかぎらないというような意味から、陶磁はなぜそんなに尊いかというような質問をだされたのだろうと私は察するのであります。誠に、それは無理のないことだと思うのです。分らない者か
次へ
全20ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北大路 魯山人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング