陶磁の中にもいろいろの産地があります。中国があり、朝鮮があり、日本があります。今日は必ずしも自分のことを宣伝するわけではありませぬが、話をしますとまったくこういう方面で日本製陶がこの頃深く認識されまして、日本陶器のよさということが漸次識者にだんだんと分りつつあるようであります。私どもの経験によりますと、最後は日本で生まれた陶器が一番よいということになります。書の研究も多少私に覚えがあるのでありますが、これもやはり日本の書が一番よいということになります。絵もまた日本の絵が一番よいということになる。建造物もまたそうであります。日本に存在しておりますような、歴史に残っておりますような建造物は中国にも、朝鮮にも決して存在してはおりませぬ。それから古来もともとやかましくいわれておりますが能書はやはり弘法大師であり、道風であり、逸勢《はやなり》であり、あるいは嵯峨天皇のごとき、あるいはずっと降《くだ》りまして三藐院《さんみゃくいん》、近衛公。徳川時代になって物徂徠《ぶつそらい》、あるいは良寛禅師とか、それからもっともよい字を書いたのは大徳寺の高僧たちであります。こういうようなよい字は中国には見られ
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