代の作品と申しますとみなさん御承知の文芸の生まれている時代でありますから、なにかにつけこれは鎌倉時代とよくいうように、工芸あるいは絵画としてなかなか尊重に足るものが生まれているのであります。御承知の通りに兼好法師にいわせますと、あの時すでに来世になっておりますが、今から考えますと兼好法師の末世はとても尊い時代であります。それで日本でいえば鎌倉時代に青磁が生まれている。今日京都あたりで出来ますあるいは御承知の蘇山の青磁だとかいうのはなにを当てにそんなものを作るかと申しますと、中国の宋時代に出来た青磁を手本として作るのであります。碪《きぬた》青磁なんといっておりますのはすなわちそれであります。それで青磁というものが宋の時代、日本の鎌倉時代に出来ておりますために、今から考えますと想像も出来ないような巧みな方法で、またそれだけ調子の高いものが出来ております。それでまた色がどのなに色に比べましても陶磁器の中では一番上品な色を持っている。いかにも日本人は上品なものが好きだと見えまして、上品なものを非常に尊ぶ癖がある。中国ではむしろ均窯という方を尊ぶようでありますが、それで文献によりますと、雨過天晴
前へ
次へ
全20ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北大路 魯山人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング