サカサして、砂漠になったのであろう。雷は雷雲によって発生するものであり、雷雲は雨を伴う。だのに砂漠で雷が轟き渡るとは、コレいかに? 解《げ》せねえ話じゃねえか! と思ったが、ともかく日本広しといえども、砂漠で雷が鳴ることを知ってるのは、俺一人であろうと、私は得意になった。これだけの未発見の知識を、私一人で蔵しておくのは、勿体《もったい》ねえから中央気象台にも教えてやろうか! と思わぬでもなかったが、いつかウソを吐《つ》いて、私を逗子《ずし》で酷《ひで》え目に遭わせた恨《うら》みがあるから、止めにしてくれた。
ついに雷専門の雑学者
頼まれもせんのに外国まで問合せを出すバカだから、もちろん逢う外人もって、失礼ですが御地では雷《サンダー》は鳴りますかね? とばかり、片っ端から聞く。オウ、イエス! というのが、大概の人の返事であった。オウストラリアのメルボーンでも鳴る。シドニイも鳴る。亜米利加《アメリカ》は至るところ鳴る。殊にシカゴあたりは非常に猛烈だと、ある亜米利加人が教えてくれた。
しかれば、世界至るところ、雷の鳴らぬところはねえということになるのだが、神は何が故にこん
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