スの商人 鳴る、鳴る、盛んに鳴るヨ。
和蘭《オランダ》、アムステルダムの商人 鳴ります。
瑞西《スイス》、ベルンの商人 鳴る、ビュッヒュウと鳴る。
笑わせちゃいけない、瑞西の雷は、ビュッヒュウと鳴るんだそうな。
印度、ボムベイの商人 強大に鳴る。天地も破れんばかりに鳴る。
この返事を読んだ途端、将来洋行しても、ボムベイだけは絶対行かぬと私は決心した。
タイのバンコックの海軍の軍医少将で、シュミトラさんというオッサンは、何か私が日本の間諜《スパイ》で、タイの気象状況でも知りたがっていると勘違いしたのであろう。遺憾《ベリイソーリイ》ながら、余は気象上の通報を認《したた》むるの自由を有せずと、恐ろしく堅っ苦しい返事をくれた。
弊商会は雷に興味を有せずなんて、怒ってきたのもある。亜米利加《アメリカ》のオレゴン州ポートランドのオッサンは、いかにもヤンキーらしく、まず貴下の学界における地位を明示せよ。余は、恐るべき著述を贈呈せんと言って来たが、私には学界に地位がねえから、今もって恐るべき著述を送って来ん。ウルグアイ、モンテヴィデオの、ドン・ペドロ何とかいうオッサンは、なんとハヤ、書簡
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