、さ、まだ七、八町の余《よ》もごぜえましょうか?」
熊笹がいよいよ多くなる。ますます黄櫨の木が殖《ふ》えてくる。もはや人はほとんど通らぬとみえて、六蔵や、伊手市氏、牧田氏、藤五郎氏たちが先に立って踏み分けてくれるからついて行けるが、私ひとりだったら、とても行き着くことは思いも寄らなかったろう。
無言でしばらくガサゴソと、熊笹を分ける。蛍草《ほたるぐさ》や竜胆《りんどう》風の花が、熊笹のあちらこちらに見える。野生の石楠花《しゃくなげ》が処々に咲いている。
この景色を最も好んでいたとはいえ、死後もなおそれを忘れずに、二つの屍体《したい》を運び、重い二つの墓石を運んだ馬丁《べっとう》の福次郎と六蔵との純情にも感ずるが、この二人をして、それほどまでにも追慕させている、亡くなった二人の姉妹《きょうだい》の心の温かさも偲《しの》ばれる。
十六町の道を、全部踏み分け終って、今ようやく墓の前に立つ。
二本の松は赤松であった。その根元の小高い丘の上に……今私の立っているこの足許《あしもと》に、もはや姉と妹ととは争いもなく、平和に眠っているのであろう。
三根石《みつねいし》は、紫色の膚を光らせ
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