て、台石もなく土の上に突っ立っている。
向って右が、
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石橋 スパセニアの墓
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左が、
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石橋 ジーナの墓
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幽蘭香《ゆうらんこう》を焚《た》いて合掌する。香煙はゆらゆらと立ち昇って、墓の面《おもて》を掠《かす》め、そして、私は憮然《ぶぜん》として、墓をみつめて立つ。
死後の世界では、人間はことごとく霊のからだと化して、恋もなければ愛もなく……嫉妬《しっと》……怒り……悲しみ……嘆き……肉に属するもの一切は、ことごとく消え失《う》せてしまうという。
そして、ただ幼児《おさなご》のように楽しく遊んでいると聞く。
石橋スパセニア嬢よ、石橋ジーナ嬢よ、生きていればこそ、人間愛欲の争闘もあれ! 死んだ今となっては、地上の悩み一切を忘れて、ただ楽しく……ただ楽しく……三人で幼児のように楽しい日をお送りなさい! と私は眼を瞑《と》じて黙祷《もくとう》した。
「こんな淋《さび》しいところに親子別々に葬っておくのは、可哀《かわい》そうじゃありませんか! お父さんのお墓も、ここへ一緒にして上げたら、い
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