墓が呼んでいる
橘外男
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)伊香保《いかほ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳田|篤二郎《とくじろう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]
−−
はしがきの一
この話は、今から四年ばかり以前にさかのぼる。その使いが初めて私の家へ来たのは、何でもその年の九月頃ではなかったかと、覚えている。一週間ばかり私が、伊香保《いかほ》の温泉へいっている間に、六十くらいの下男《げなん》風の老爺《ろうや》が来て、麹町《こうじまち》のお邸《やしき》から来たものだが、若旦那《わかだんな》様が折り入ってお眼にかかりたいといっていられる。が、御病中で動けないから、ぜひこちらの先生に、いらしていただきたいと頼みに来たと、いうことであった。
名前は、麹町の五番丁に住む、柳田とかいったということである。もちろん、私が不在だと妻は断った。では、お帰りになった時分に、また
次へ
全199ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
橘 外男 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング