ゃりましょう」
 と朴直《ぼくちょく》そうな六十|爺《おやじ》は、湖岸から半道あまりを駈《か》けつけて来た禿《は》げ頭の汗を押し拭《ぬぐ》いつつ、悔やみを述べる。
「でもまあ、有難てえ、といっちゃ悪《わり》いでやすが、……こいでまあお嬢様お二人も、もうこの世に何にも思い残しなさることもねえようなわけで……今頃はお三人で、楽しく三途《さんず》の川原ででも、遊んでおいででやしょう……なむまいだぶ……なむまいだぶ……」
 六蔵に連れられて、牧田氏、都留氏ともども、地下工事場跡を見る……故石橋氏邸の焼け跡を見る……柳沼を見る。
 壮大とか、瀟洒《しょうしゃ》とか、幽邃《ゆうすい》とか、余計な形容詞なぞは、一切省くことにしよう、ことごとく青年の話の中に詳しいから。
 ともかくこれらを見た私の感じを一言にしていえば、故青年が私に話してくれたところには、一点一画のウソも偽りもないということであった。
 地下工事現場には、大勢の人夫が入り乱れて、福岡の貝塚合名会社地所部とした貨物自動《トラック》車が、十二、三台、盛んに取り毀《こわ》した工事場の鉄梁《ビーム》や、鉄柱を積み込んでいた。
 福岡に建つ大き
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