村では近く、柳沼の水を水不足の沢谷郷方面へも供給すべく、水路の開鑿《かいさく》工事を行う予定だということであった。
スパセニアが投身自殺を遂げた最後の日、開拓地へ残していった愛馬のジュールと、犬のペリッ……ジュールは八十五万円、ペリッは二十七万円で、それぞれ小倉と長崎の素封家《そほうか》へ引き取られて、これらの金は、ことごとく水の尾村役場の石橋家財産管理委員会へ納められたが、管理委員会は目下外務省に依頼して、ドラーゲ・マルコヴィッチ氏一族を捜査中であると、都留氏ともども牧田助役から聞かされる。
あとがきの二
六月十三日、牧田氏、都留氏同行、東水の尾へ車を走らせる。
なるほど万里の長城のごとくに蜿蜒《えんえん》として、見事な混凝土《コンクリート》の溝渠《インクライン》が走っている。彼方《かなた》の丘に見え隠れして、時々車窓近くに並行してくる。故青年が二度目に来た時には、混凝土《コンクリート》の底に、雑草が茂っていたと話していたが、今は溢《あふ》れんばかり満々たる急流を湛《たた》えて、矢のような勢いで走っている。
それを眺《なが》めていると、人|亡《ほろ》びて山河あ
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