をお撃ちになったんだろうって……。
 そして、死体を湖へ引き摺《ず》り込んだに違いないと、そういっていられました。お姉さんの死体の上がった場所や何かから見て、警察の方ではそういうことに、決まってるという話でございました」
 靴を隔てて痒《かゆ》いところを掻《か》くような、物足りなさは感じるが、四里四方一軒の人家もない山の中の姉妹間の争いであり、処理したのが田舎の警察では、これ以上聞き質《ただ》してみても仕方のないことと、私も諦《あきら》めた。
 小浜《おばま》に引き返し、牧田氏の案内で亀屋旅館に投宿する。

 先刻の都留《つる》五八氏が訪ねて来てくれた。夕食後、牧田氏、都留氏と卓を囲んで会談する。話によれば、平戸にいる故石橋氏の弟、妹たちから欲に絡んで、東水の尾にある残余の地所、ホテル建設用の地下工事の資材、同じく大野木村に至る、四里の混凝土《コンクリート》の溝渠《インクライン》等、マンガン鉱山の担保になっていなかった一切の資産に対する、継承権の訴訟が起されていたが、生前から平戸の親戚一同を好まなかった石橋氏の遺志を尊重して、水の尾村が主体となって法廷でようやく勝訴の判決を得て、水の尾
前へ 次へ
全199ページ中187ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
橘 外男 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング