したら、ふだん仲のいい姉妹《きょうだい》が声高《こわだか》に諍《さか》いをしていられましたから、福次郎さんも躊躇《ちゅうちょ》して、しばらくそこに、立っていたのだそうです。お姉さんの声は、聞こえませんでしたけれど、
「わたしと貴方《あなた》と、どちらかがいなくなれば、スグ解決のつくことなんだわ。どうせわたしだって、もう、生きてようとも思わないけれど、死ぬ前に黒白《こくびゃく》だけは、つけたいわ。あの方の真意も知らずに、死ぬのは死んでも死に切れないわ」と、大変昂奮して妹さんの方が仰《おっ》しゃるのを聞いたとか、後で山田さんという刑事の方が、家へ見えられた時に話していられました。
 どうせまたあの大学生のことで、姉妹の間に諍いが起ったんだろうと、その時は福次郎さんも思っていたんだそうですけれど、そのほかには誰も山へ登ったものがありませんから、詳しい経緯《いきさつ》はどうしても、わかりませんそうです」
「……ハイ、山田刑事さんの仰しゃるのには、四月の十四、五日頃から十六、七日くらいの間に、お二人がお父様のお墓|詣《まい》りをしていられた時に、また諍いが起ってその時かっとして、妹さんがお姉さん
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