、わたくし、仕事のほかのことでは、そうお話したことありませんです……」
「……いつもお二人で、立派な馬に乗って、郵便物を取りにおいでになります。元は農場の農夫さんや、馬丁さんたちばかり来ましたけれど。その大学生の方の評判が立ってからは、お二人で仲よくいらっしゃいました。
別段わたくしたちには、何にも仰《おっ》しゃいません。ハイ、東京からは時々、片仮名の手紙が来ていました。絵葉書もまいりました。その時のうれしそうなお顔ったら! ハイ、覚えております、外国からも時々お手紙が来ますし、いつも四、五本ばかり郵便物をお渡ししますけれど、ほかの郵便なんぞ眼もくれずに、東京からの絵葉書だけ抜いて、窓口でお二人で顔を寄せて、読んでおいででした。向うの方は、そりゃ無邪気でいらっしゃいますから」
「……あの、郵便来ておりまして? と入っていらっしゃいますけれど、お二人同士は向うの言葉でお話しなさいますからハイ、わたくし共にはわかりませんです。
時々そういう葉書の来ている時、眸《め》を細めてうれしそうに、
『フヴァーラ……フヴァーラ・ワム』
なぞと仰《おっ》しゃることがございました。仏蘭西《フランス》
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