要も何もありません。この湖は一番深いところでも二丈ぐらいといわれていますから、透《す》き徹《とお》って湖底の礫《こいし》一つ、水草一本さえ数えられるかと疑われるばかり……スパセニアの死体が上がったのは、舟を出してから二時間余りの後だったというのです。
「おうい上がったぞう! てえ知らせでしたから、わっしも人の背後《うしろ》からのぞきこんだでやすが、それは綺麗《きれい》なもんでやした。どこにも怪我《けが》がなくて、足でも顔でも、透き徹るようで……美しいという評判の方でやしたが、まったく綺麗《きれい》なもんでがした」
 スパセニアの死体の上がったのは、湖の東南方、湖心に十五、六町ばかりのところでしたが、そこからまた十七、八町離れたところから、ジーナの死体も上がったというのです。
 二人とも死後二、三週間ばかりと推定されましたが、ジーナの方は、スパセニアと違って見るから無残に腐爛《ふらん》して……。
「ああ、見るもんじゃねえ、見るもんじゃねえ! いくら別嬪《べっぴん》でも、こうなっちゃお仕舞《しま》いだな!」
 と、さすがの刑事たちもスグ顔にハンカチをかぶせてしまったというのです。
「生きて
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