、見てるだから……」
と、亭主の言葉を引き取って、石屋の伊手市が膝《ひざ》を進めました。
姉妹《きょうだい》間に殺傷が行われて、姉の姿が見えなくて妹も入水《じゅすい》したらしいという風評を耳にした刑事や巡査の一隊が東水の尾へ登って来たのは、五月の六日頃……明日《あした》は水の尾村の鎮守のお祭りだというその前の日でした。
日傭《ひよう》で雇われて手伝いにいったものは、大野木村から平戸の農民たち四、五人、山から降りていた馬丁《べっとう》の福次郎と、水番の六蔵、この村からはその時用があって小浜《おばま》にいっていた、この石屋と、もう一人庄どんという農夫の、二人だったというのです。
「その庄吉は、一昨日《おととい》からこの先の鰍沢《かじかざわ》さいって、まだ戻んねえでやすが……」
湖は周囲一里半、山の影を映し、森を映して静まり返っていましたが、二、三日前に降った雨が、湖岸の森や林を洗って、殊《こと》にくっきりと鮮やかさを増しているように思われました。
水番|小舎《ごや》の付近に繋留《けいりゅう》された小舟四隻に分乗して、湖心に漕《こ》ぎ出しましたが、湖底へ碇綱《いかりづな》を下ろす必
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