した顔で、はいって来たのです。しかもミシリ、ミシリと、誰か障子の外で聞き耳を立てているらしいけはいです。
「旦那《だんな》様……実は家内に話しましたところが、家内がもう一度伺って来いと申しますんで……さきほど手前どもの家を、お教えになったとか仰《おっ》しゃいましたのは、石橋様の……お亡くなりになりました石橋弥七郎様の、お嬢様でいらっしゃいましょうか?」
私の方が呆気《あっけ》に奪《と》られるくらい、真面目《まじめ》な顔付きです。真面目というよりも、土気《つちけ》色のオドオドした顔といった方がいいのかも知れません。
「そう……お父さんはたしか、石橋弥七郎とかいわれた……」
「石橋様のお嬢様とすれば……たしか……アノ……向うのお方で……?」
「そう……混血児《あいのこ》だよ……教えてくれただけじゃない……あすこの橋のところまで……村の入り口に、石の橋が架かってるだろう? あすこまで、送って来てくれたよ」
「あの……橋のところまで送っていらして……ではつかぬことをお伺いいたしますが、旦那様は東京で、大学へいっていらっしゃいますんで」
「そう、僕は大学生だけれど?」
それがどうしたんだとい
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