だが、来たついでだ! ようし! 今夜はこの村の役場のある水の尾村へ泊って、明日《あした》は役場へ行って、どこに住んでいるか調べてみよう。
そこでわからなかったら、明日はもう一度ここへ来て、その足で今度は大野木村へ行って、平戸から来ている開墾地の農家を訪ねて聞いてみることにしよう。それでもまだわからなかったら、一応父の許《もと》へ帰った上で、長崎の市役所なり、警察なりへ、照会状を出してみることにしよう。
そう心を決めて、陽《ひ》も大分傾いてきましたから、私は初めて来た時にスパセニアから教えられた、水の尾という村へ向って歩き出しました。いつか私が岩躑躅《いわつつじ》を折りながら降りて来て、突然子牛のようなペリッに咆《ほ》えられた、あの周防山《すおうやま》に並んだ樹木のこんもり生えた、山道へ分け入っていったのです。
陽は山に遮《さえぎ》られて、山は木が真っ暗に繁《しげ》って、その下をつづら折りに登って行くのですから、涼風は面《おもて》を打って、暑いことは少しもありません。が、草臥《くたび》れ抜いたからだに、これから四里の道はまったくうんざりします。でも、仕方がありません。疲れ切った足
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