。が、無人の境では、大声を上げることさえ何か空恐ろしいような気がして、私はまた起《た》ち上がりました。
もう一度引っくり戻って、あの立ちかけの地下工事場のあたりを探し、どうどうと飛沫《しぶき》を上げている断崖《だんがい》のふちまでいって見、最後には海水着の姉妹《きょうだい》と三人でもつれ歩いた、あの溝渠《インクライン》の傍らの小径《こみち》に沿うて、一キロばかり第一の曲り角のあたりまでもいって、空《むな》しくまた引き揚げて来た時には、私は疲れと暑さで、くたくたになりました。
滝のような汗がシャツを浸し、ワイシャツをグッショリにし、おまけにこういうことになろうとは、夢にも思いませんでしたから、また今度も昼食の用意はなく、腹は空《へ》るし、喉《のど》は渇くし、暑さで眼も眩《くら》みそうな気がしました。
前にもいいましたように、この年になるまで父母の溺愛《できあい》を受けて、ここまで旅行に出るということは、私にとっては容易な業《わざ》ではないのです。このまま東京へ帰ったら、いつまた来れるか見当も付かないのです。やっぱりみんな東京へいってしまったのか知ら? と落胆《がっかり》しました。
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