を引き摺《ず》って、ぼんやりと私は、そのつづら折りの山道を登っていましたが、登り詰めると、今度は山の背を大分行ったところで……こんもり繁った大きな木の下あたりで、もう一つ、右手の山をめぐる小径《こみち》に分れているらしい様子です。
さっきからもう小一里近くは、来ていたかも知れません。そこで私はしばらくやすんでいました。が、うとうととして、ハッと気が付いて顔を上げましたら、そこの小暗い木陰の道から、サヤサヤと誰か草でも分けて来るような音がしていました。疲れていましたし、気もぼんやりしていましたから、その時のことをハッキリと今、思い出すことはできないのですが……。
「先生、その地図には出ていません、こまかいところですから……水の尾村とした左手の方に笹目沢というところがありましょう? その右手の赤名山と、その笹目沢との中間ぐらいのところなのです」
と地図を見ている私に、病青年は注意した。
「おう! 僕だよう……やっと来たんだよう!」
と、私は夢中で躍り上がりました。
「ジーナ! スパセニア! 僕だよう!」
にこにことほほえみながら近づいて来るのは、なんとなんと! 今の今まで、一日一杯
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