が、その瞬間、また突然頭に閃《ひらめ》いたのは、ゼヒゼヒイラシテクダサイ、オマチシテオリマスという葉書も、そのまた前の葉書も手紙も、ことごとく東京で、ジーナやスパセニアの姿を見た以前のものばかりで、それ以来は何にも受け取っていないということだったのです。
家が焼けたことといい、殊《こと》に焼け跡や、例の溝渠《インクライン》に夏草の茂っていたことといい、それらに結び付けて、何かジーナやスパセニアの身の上に間違いでも起っているのではなかろうか? と、急に、いても立ってもいられぬ不安な気が起ってきたのです。
道後を夜|発《た》って、東水の尾へ着いたのが翌々日の朝の九時頃でした。眩《くるめ》かしい太陽のかんかん照りつけている長い夏の一日を、どんなに夢中になって私が、その辺一帯を足を棒にして歩き回ったかは、到底先生にも想像していただけないであろうと思われます。
いつか姉妹《きょうだい》に最初に案内された厩舎《きゅうしゃ》へもいってみました。これは以前のままに残っていましたが、もうそこに馬は、一頭もいませんでした。ガランとした煉瓦《れんが》建ての厩《うまや》のみが、真昼の直射を浴びて立ってい
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