《じしょうち》ですかい?」
その道もない草の中を、あっちへ行き、こっちへ曲り、二年昔の朧《おぼろ》な記憶を呼び起してやっとのことで、例の、向うに赤松の丘を眺《なが》める、ホテルの建築場跡の広場へ辿《たど》り着くことができました。鉄梁《ビーム》や鉄筋の残骸《ざんがい》があり、鉄柱が峙《そばだ》ち以前と何の変りもありません。ただ相変らず人気《ひとけ》のない淋《さび》しさのみが、沈々として身に迫ってくるばかりです。
「ほう! こんなところになア……こういうものがなア……へえ!」
と車を降りて来て、運転手も感に堪えて、穴の端に佇《たたず》んで工事場跡を眺めています。
十
ここで車を返して、私は彼女たちの住居《すまい》の方へ足を向けました。もう、そう遠い道ではありません。期していたこととはいいながら、寂寥《せきりょう》とも寂莫《せきばく》とも、何ともかともいいようのない孤独さです。ただ夏草だけが、人の胸のあたりまでも茂って、松の梢《こずえ》を鳴らしてゆく風の音が、魂に沁《し》み入るような気持です。
が、目前に迫った彼女たちとの再会に胸を躍らせて、別段私は淋《さび》しいとも
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