思いませんでした。淋しいどころか! 今日来るとも予期していない彼女たちの背後《うしろ》へ回って、ワッと驚かせてやる時のことを考えると、喜悦で胸もハチ切れんばかりの思いです。優しいジーナは、あの艶《あで》やかな眼に涙ぐんで、凜々《りり》しいスパセニアは、涼しい瞳に一杯涙を溜めて、さぞびっくりして喜んでくれるでしょう。
 鬱蒼《うっそう》とした山の陰が、いよいよ眼の前に近づいて、いつか初めてスパセニアに連れられた、あの白砂利の道に出て来ました。左手へ曲ったそこに、いよいよ御影石《みかげいし》の舗道《ほどう》が見えて……、もう歩いているのももどかしく、私は走り出しました。
 見覚えのある太い門柱が、陽《ひ》を浴びて立っているのが眼に入ってきました。叫びたいのを我慢して、一気に駈《か》け上って行った途端……呀《あ》っ! と叫んで、私はへなへなと崩おれてしまいました。見よ、見よ! あの瀟洒《しょうしゃ》な家が全部燃え落ちてしまって! ただ二本の門柱と鉄柵《てつさく》のみが、悄然《しょんぼり》と立っているばかり……そして焼け跡には、混凝土《コンクリート》の土台だけが残っているばかり! 眼に入る限り
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