しげもなく陽《ひ》に晒《さら》して、海水帽を除《と》ってキラキラと黄金《こがね》色の髪を振り乱しながら……その二人に囲まれて、ただ私は黙々として上気し切っていたというよりほか、いう言葉がありません。
今でも私は、そう思っているのです。もしスパセニアがいなくて、ジーナとただ二人だったならば、おそらく私は前後の見境《みさかい》もなく、ジーナをネジ伏せてその場に思いを遂げてしまったでしょう。同じこと、もしジーナがいなくてスパセニアだけだったとしても、私にはスパセニアをあのままのからだにはしておけなかったに違いありません。
水へ入るのは、まだいくらか肌寒く、歩くには暑いさんさんたる太陽の直射を浴びながらただもう夢中で、私は肉の疼《うず》きだけをモテアマシ切っていたのです。そしてやっとのことで、湖の水門のあたりまで辿《たど》り着きましたが、まったく私にはもう、窈窕《ようちょう》も凜々しさもお侠《きゃん》も淑《しと》やかさも何もかもが、一切合切区別つかなくなってしまいました。
ともかく二人|揃《そろ》っているばかりに、辛じて私は理性を奮い起して、不躾《ぶしつけ》な真似《まね》もせずどうにかこ
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