い給料を出して遣《や》るからといっても、生命《いのち》あっての物種《ものだね》、給料には易《か》えられぬといって応ずる者がありません、しかし是非とも同山に三角測量を設けざるべからざる必要があるというのは、今日既に立山には一等測量標を、大日山と大窓山には二等測量標を建設してありますけれども、これだけでは十分な測量が出来ませんからで、技術上|是非《ぜひ》劍山に二等測量標の建設を必要とするのであります、前年来|屡次《るじ》登攀《とうはん》を試みましたが毎時登る事が出来ず失敗に帰しましたが、そのために今日では同地方の地図は全く空虚になって居る次第であります、これは我々の職務として遺憾《いかん》に堪えぬ次第で、国家のため死を賭《と》しても目的を達せねばならぬ訳《わけ》であります、そこで七月十二日私は最も勇気ある
[#ここから2字下げ]
測夫 静岡県|榛原《はいばら》郡上川根村 生田信(二二)
人夫 上新川郡大山村 山口久右衛門(三四)
人夫 同郡同村 宮本金作(三五)
人夫 同郡福沢村 南川吉次郎(二四)
人夫 氏名不詳
[#ここで字下げ終わり]
前へ
次へ
全8ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
柴崎 芳太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング