水嶺となって、前面は銀山平即ち阿賀野川の流域となるのである、この峠は大明神峠とも呼ばれている、尾瀬大(中?)納言が讒者《ざんしゃ》のために流罪《るざい》となって、此処《ここ》を過ぎられた時に、大明神が現出されて路《みち》に枝折をされたという伝説がある、この峠を右に登ると五時間ばかりで駒ヶ岳の八合目ともいうべき処のアマ池に出る、それから約一時間四十分で駒ヶ岳の絶巓に至ることが出来る。
ここで簡単に銀山平の説明をしておく、越後の南と北の魚沼郡の境界で、中ノ岳の南に兎岳というのがある、兎岳の尾根が東に延びて灰ノ又山となって、それから北に行って荒沢岳となって、更に東に延びている、この山脈と中ノ岳、駒ヶ岳の山脈の間を流れているのが、只見川の支流の北又川である、枝折峠から北又川に下ると、川の南方は処々に平地があって、自然の桑樹があるから昔しから養蚕期になると、この山間で養蚕をしていたらしい、北又川が只見川と出合うてから、只見川の上流に行くと、川の西方にも平地が処々にある、それが大略五、六里以上も続いている、その平地を総称して銀山平と呼ぶのである、会津藩の頃には只見川の上流で銀鉱を採掘してかなり盛
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