平ヶ岳登攀記
高頭仁兵衛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)僭越《せんえつ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|魚沼《うおぬま》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「巾+(穴かんむり/登)」、305−16]
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    平ヶ岳と鶴ヶ岳

 平ヶ岳の記事は従来刊行された地理書には絶無であるから、極めて僭越《せんえつ》でかつは大袈裟《おおげさ》のようではあるが、自分を主としたこの山の記録とでもいうような事と、自分がこの山に興味を持って、数回の失敗を重ねて、ようやく登攀を試みた筋道を一通り陳《の》べて見ようと思う。
 今から十五、六年前に、自分が小出《こいで》町へ遊びに行った時に、三|魚沼《うおぬま》は深山地であるが、何という山が一番に高いかと、郡役所の書記をしておられた小島という人に聞くと、先年参謀本部の役人が調査されて、鶴ヶ岳という山が第一だと申されたと咄《はな》してくれた、これが自分が鶴ヶ岳と呼ぶ山が、自分の住居している
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