国に存在しているという事を知った初めであって、何《な》んとなく気持よく自分の耳に響いた、地図を見ると輯製二十万分一図の日光《にっこう》図幅にも、地質調査所の四十万分一予察図にも明記してあるが、いずれも標高を記してない、しかし三魚沼の最高峰とすると、吾《わ》が北越《ほくえつ》の山岳中でもかなり高いものとなるから、二、三年の中には是非《ぜひ》に登攀してみようと考えた。
帰宅すると大急ぎで地質調査所の二十万分一詳図の日光図幅を出して見た、鶴ヶ岳の高さと登山口を物色《ぶっしょく》する意であった、ところがこの図には鶴ヶ岳の名が載せてない、予察図の鶴ヶ岳の辺と想《おも》わるる所に、平岳 2170 というのが記してある、自分は平岳と鶴ヶ岳というのは、同山異名であって、越後では鶴ヶ岳と呼んでいて、上州方面では平岳と称するのであるまいかと想うて、『越後名寄』、『新編会津風土記』、『日本地誌提要』、『大日本地名辞書』などを漁《あさ》って見たが、二山の記事は勿論のこと、いずれの山名さえも見出すことが出来なかったが、自分は心中ではこの二山を同山異名と臆断していた。
その時から鶴ヶ岳は好い名称だと思った、日
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