時代後れになつてしまつたが、明暗とか、透明不透明とか、見える見えないとか、物質心靈とか、すべてかう云ふ兩極端を置くのは、説明の便法として、假定したものに過ぎない。生慾からして活動して居なければならない僕等には、そんな單純な假定に滿足のしようがないのである。一つの表象としては有限に見えるものも、その表象のそのまた表象となつて行くので、生きて居るのだ[#「一つの表象としては」〜「生きて居るのだ」に白丸傍点]。人は數を計へて居るばかりでも、その生命は續いて行く。然し、一刹那をまごついて、その位を忘れてしまうと、もう別な人間になつて居るのである。存在はいつも常がない、また限りのないものであるから、その間にあつて、表象が僕等の運命の杖[#「運命の杖」に白三角傍点]となつて呉れるのである。
 然し、それは盲人の杖である。僕等は目が開いては却つて一大表象としての生命が縮まる動物であつて、暗い中をその杖で以つて探つて行けばこそ、その先きへ無限の道が響いて來るので[#「僕等は目が開いては」〜「來るので」に傍点]――一たび目が開いたら、位を忘れてしまつた暗算家と同樣、もう、別な人間である。かう云ふ點から推
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