#「苦とは何か」〜「態度と云つて善い」に傍点]。苦痛の絶えないのは事實である。人間は弱いものであるから、失戀だの、絶望の塲合に立ち至ると、直ぐ死んでしまいたい氣になるものだが、死んでも死ねないものが、それにつき纒つて居る苦痛ばかりを斷つてしまへると思ふのは間違ひである。全體、自殺[#「自殺」に白三角傍点]といふことは、自我の外にまた非我なるものを設けてから出來る芝居であつて、この表象的悲劇[#「表象的悲劇」に傍点]の裏面から見ると、これがまた裏面にある表象の意味して居るところと同じであるのだ。かういふ譯からして、シヨーペンハウエルの斷言した通り、僕等は苦痛をそのまゝ男性的勢力を以つて辛抱するより外はないのである。自我の最も發揮するのはかういふ時だ[#「自我の最も發揮するのはかういふ時だ」に白丸傍点]。フレデリツキが周圍の外敵に追迫されて、自分の國どころか、自分の身の存在に窮し、腰の劍を拔いて、わが身でわが身を刺さうとしたが、たゞこの危急な瞬間に堪へた時、既に大王たる資格は定つて居たのである。然し、これは絶望と苦痛とがなくなつたのではない、僕があとから云はうとする文藝的慰籍を得たからであ
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