那/\を空しく逃がさない樣にするのは、なか/\骨である。この骨折は、丁度一つの石を水面に投げると同じで、出來た波の輪は段々廣がつて行つて、過去や未來の云ふに云はれない無限際から、悲愁と苦痛との響きを傳へ返すのであるから[#「丁度一つの石を」〜「傳へ返すのであるから」に傍点],之に氣がついた上に、尚踏みこたへなければならない僕等の運命は實につらいものだ[#「之に氣がついた上に」〜「實につらいものだ」に白丸傍点]と分つても、心の自然になつて來るものであるから、夜の夢にうなされて居る樣に、どうしても之を振り拂ふことが出來ない。僕等の生命はその上を流れて居るのである。
 僕等はぬる/\した蛇にはなりたくない,然し、その鱗の樣なものは僕等の毛穴から吹き出て來る。蛇を水平線とし、人を直立線とすれば、直角が出來る、この神秘的四分圖の間に、活動物はすべてその位を得て居るといふことがあるが、僕等が腹這ひになれば、もう蛇體ではないか。その上、手足も蛇の形で、その先きには細い蛇がまた二十匹もついて居る。若し蛇に意識があるとすれば、人間は澤山の蛇から出來た木とも見えよう[#「若し蛇に」〜「木とも見えよう」に傍
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