小い脊骨、手がついて居る。本脊骨の他端には、脛があつて、またその先きに足がある、これがまた別な脊骨の重なりである。手の指、足の指も脊骨の小いのである。人體の頂上には、また脊骨の丸まつたもの、頭蓋骨があつて、手が上顎で、足が下の顎で、手指と足指とは上下の齒である。それがまた心といふ體を以つて、新しい要素を食つたり、消化したり、分泌したりする。腦では、また、經驗といふ物を比較したり、取捨したりして、滋養の働きをする。また、新たに不思議な働きが起る、腦のうちでは男女の能力があつて、それが結婚もして居れば、兒を生みもして居る。かう云ふ風に、自然は螺線的に進歩をして、限りのないものである[#「自然は螺線的に進歩をして、限りのないものである」に傍点]。重力説もつひには形而上學の現象となるし、天文學もまた人の生命中に解釋が出來る樣になる。たゞ萬事萬物の働きが向上して行くのである。舌は小い舌の寄り合ひで、胃は小胃の集合,餓は小餓の、善は小善の集り。人は乃ち天の小いもので、大くなれば天と同一である。歸するところ、物質界は心靈界の表象[#「物質界は心靈界の表象」に白丸傍点]となつてしまうのである。
曾て
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