ひに自然渦動説を唱へ、ニユートンが『プリンシピヤ』を著はして、引力説を建てた時代,ライブニツツはその實體論にモナド説を主張し、ロツクは英國に於て實驗哲學を唱道した時代である。スヰデンボルグは、かういふ大觀念、大思想の澤山流行した間に處して、尚嶄然たる頭角をあらはして居るのである。
スヰデンボルグの發表したのは、合一哲學[#「合一哲學」に白三角傍点]とでも云ふべきもので――この思想はプラトーンどころではない、苟も思索に從事したものは皆持つて居たのである。古詩にもある、古い寓言にもある、ベーコンも知つて居たし、プロチノスやベーメの樣な神秘家は尚更ら知つて居たのだが、たゞ謎の樣に發表してあつたのを、スヰデンボルグになつてから、之に獨立的、科學的證明を與へたので、全く新しい色を帶びて來たのである。『歴史は繰り返す』といふ語が、近來諺の樣になつてしまつたが、渠に據れば、自然はいつも同一のことを繰り返して居るのである[#「渠に據れば」〜「居るのである」に傍点]。脊骨のたとへ[#「脊骨のたとへ」に白三角傍点]で云つて見ると、その一端にはまた別な脊骨《せぼね》、乃ち、腕がついて居る,腕の端には、また
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