な氣持ちがした。不思議だと思つて讀んで行くと、エメルソンの語までが引用に出て來たのである。――僕は愉快になつたので、その書の持ち主へ手紙を書いて、歐洲近時の文壇にも、自分と同意見者のあるを好《よ》みすと云つて遣つた。尤も同意見と云ふよりは、同趣味と云つた方が善い。
その時は他に旅行をして居たので、歸京してから、友人に會つて見ると、その友の話に、僕は知らなかつたが、メーテルリンクは三人の感化を特に受けて居る――それはノワ゛[#底本では「ワ゛」は一字]リスとエメルソンとスヰデンボルグとであることが分つた。僕は第一者の作を知らない、第二第三のは知つて居る。エメルソンは、隨分、スヰデンボルグといふ神秘的宗教家の感化をその作から受けた,して、メーテルリンクはまたエメルソンからの感化を受けたのである[#「エメルソンは」〜「受けたのである」に傍点]。メーテルリンクと僕とは、思想上の兄弟分である[#「メーテルリンクと」〜「兄弟分である」に白丸傍点]のが分つた。それから、また、メーテルリンクの劇『アグラベーンとセリセツト』の英譯を見ると、その序文にマツケールといふ人が云つてある,『モーリスメーテルリン
前へ
次へ
全161ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岩野 泡鳴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング