盛んな情熱を以て、諸事件の間に心靈的親和力を見とめ、世界の重大な現象を自由に取り扱つて居るのを見ても、心靈の力は偉大なことが知れるのである。
第三に、詩人はそういふ風にして美を目的とするが、哲學者は眞理[#「哲學者は眞理」に白三角傍点]を目的とするので、萬物の秩序と關係とを自家の思想中に組み立てゝしまう。プラトーンが云つた通り、『哲學の問題は、條件附きで存在して居る事物の爲めに、無條件絶對の根據を發見してやる』のである。エメルソンは、之を詩人に劣らない偉業として、心靈力の證明に入れてある。――尤も今日の樣に、哲學者となるべきもの等が科學に降服して、あツちの實驗室、こツちの講堂で、重箱の隅をほじくり合つて居るのは、斷然取らないのである。
第四に、心的科學をやつて居ると、どうしても、物質の存在を疑ふやうになる[#「心的科學を」〜「疑ふやうになる」に白三角傍点]――之を疑はないものは、もう、形而上の探究に向いて居ないものである。苟もこの疑問に到着すると、必らず不滅、必然、自存の自然物――云ひ換へれば、諸觀念――に注意することになるだらう。プラトーンはこの觀念に向上的階段があると思つて居た
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