、人情が段々細微になつて行くのを合點しないからで、種々の情緒がそれ/″\適切な表情法を發見して來たことを知らなければならない。人間の動作にさへリズムがあることは、精神物理學者の研究して居る問題である[#「人間の動作にさへ」〜「問題である」に傍点],まして、悲痛熱烈の靈感を傳へる悲劇が、音律の整つて居ないやうでは、それこそ再び音樂以下の藝術だと云ふ論者に好辭柄を與へることになるだらう[#「まして」〜「なるだらう」に白丸傍点]。立派に散文詩と稱するものでさへ、之を讀んで見ると、そのうちに一種云ひ難い律があるのを見ても、僕等はこの點に非常な工風を要するのである。今日の舊俳優が不用意、不整頓の七五調になづむのも善くないが、新俳優の樣に、亂雜な用語に滿足して、律語を用ゐ驍セけの奮發と勇氣とのないのは、また誡めてやらなければならない[#「今日の舊俳優が不用意」〜「やらなければならない」に傍点]。
音律の研究は更らに進んで廣くやつて見なければ、人物の種類と作品の性質とに對して、その一定の、または種々の、または、散文的の律語を用ゐる標凖を明確に斷定することは出來ない。然し、人間の動作に律があるから、
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