家を見付けて、自在の隱見を爲すからである[#「これは」〜「爲すからである」に白丸傍点]。燭を執つて後庭の菊花に向ふ、成る程、上品らしい貴族の面影が想像せられると同時に、それが直ちに聖賢知者の態度である,然し、その發光をも暗いと見て、獨り、暗夜に、馥郁たる香氣に醉つて居るものがある、これはまだ青春の物好きな世繼ぎ子でなければ、文藝家の一人でないことがあらうか。哲學は老い易い、宗教は枯れ勝ちである,獨り、文藝はとこしなへに若やいで居る[#「哲學は老い易い」〜「若やいで居る」に傍点]。然し、これは文藝その物の本然から云ふのであつて、不熟不整頓な文字と章句とから不得要領になつて居るのを指すのではない。無目的の宇宙が既に不得要領であるから、その實相に最も近いか、またはその宇宙と同化して居る文藝が朦朧なのは當り前である[#「無目的の宇宙が」〜「當り前である」に白丸傍点]。プラトーンは文藝を非難し、之に從事するものを模傚者と卑しんだが、これは、その當時の詩作を味ふだけの用意がなかつたのと、當時の詩人に卑劣な人物が多かつたからであらう。
然し、僕の説から行くと、舊慣の破るべきものがある。乃ち、確立す
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