、言語を絶する神秘的恍惚界[#「言語を絶する神秘的恍惚界」に白三角傍点]であつて、世の所謂永續的人格などが見とめられよう筈はない[#「であつて」〜「筈はない」に傍点]。悲劇――それが科白劇であらうが、樂劇であらうが――の極致は、こゝでないかと思はれる。徒らノ抽象的概念を並列重疊して、青空の下底にバベルの塔を築く哲學は、無論、舊來の短歌者流と同樣、この境内の神水を掬することは出來ない。宗教の或ものは、時として、夏雲の秀出でた樣に、その尖頭を神秘の紫電に焦すことはあるが、忽ち枯燥の形式に縮まつてしまう[#「徒らに抽象的概念を」〜「縮まつてしまう」に傍点]。たゞ刹那的文藝ばかりが、いつも活き/\として、自由にこの靈境に出入することが出來るのである[#「たゞ刹那的文藝ばかりが」〜「出來るのである」に白丸傍点]。
然し、これ程の文藝になると、知力だけでは、その作品の趣味は判斷することが出來なからう、また出來ないのである。情的實行が切實になればなる程、輪廓を好む知力に與へる印象は、勢ひ朦朧になつて行く[#「情的實行が」〜「朦朧になつて行く」に傍点]、これは、運命と共に起滅する情緒が幽暗玄妙な住み
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