然も盡きない悲痛である。幽靈でさへ絶えず死といふ恐怖に惱まされて居るのであつて、自分が死んだ記憶はあるまい,死なないのは、刹那の連續を觀じて居るからで、死を恐れるのは、刹那の起滅に自分の變形する機を見てあやぶむからである[#「刹那の連續を」〜「あやぶむからである」に白丸傍点]。カライルが神にも悲痛が絶えないと云つたのは、乃ち、これを知つて居たのだらう。シヨーペンハウエルが如何にもがかうが、エメルソンが如何に悟り澄まさうが、刹那と悲痛とは僕等に絶えるものではない。僕等の靈が歎き疲れて眠つて居る間に、宗教や國家や結婚の樣なものが、いつの間にか成立して居るが、覺めるとまたもとの煩悶である[#「僕等の靈が」〜「煩悶である」に傍点]。心靈なるものは、夢の間にも煩悶して居るのが眞相である。その覺めて居るのが知力であつたにしろ、また意志であつたにしろ、歸するところは、情的實行[#「情的實行」に白三角傍点]――たとへば、戀、戰爭等の如きもの――が僕等の生命を與へて呉れる。
神秘の門は情的實行に由つて開らけるのである[#「神秘の門は情的實行に由つて開らけるのである」に白丸傍点]。目的を有しようと思ふと
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