ものでない。假りに嬉しみを肉とし、悲しみを靈と見れば[#「假りに嬉しみを肉とし、悲しみを靈と見れば」に傍点]、この兩者が白熱の勢ひを以つて活動融化するのであるから、悲喜相離すべからざる新境地が出來るのである[#「この兩者が」〜「出來るのである」に白丸傍点]。
諸君はホメーロスの歌つたケンタウロス(Κενταυροσ)を知つて居られよう。これは人面馬體の動物で、畫家はよく之を畫いて、調和の美と力とを示めさうとする。然し、調和といふものが、二物の善い工合に結合して居るばかりでは、まだ眞實ではない,二物がそのはじめから二つでないことを理解さすに至つて、最も莊嚴な眞理が活躍して來る[#「二物がそのはじめから」〜「活躍して來る」に傍点]のではないか。今、こゝに僕の偶像[#「僕の偶像」に白三角傍点]を畫かして貰はう――先づ、前面は胸のあたりから透明であつて、肉眼には見えないが、その顏までが靈であることを知らせるだけの用意を施し,後部は、また、獸の形であつて、如何にも剛健で、強壯なところがあるのを示めす。して、前後の連絡點をはツきりさせてはならない、どこから區別があるのか分らない樣に畫いて置く。寧
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