ひこむ新鮮な空氣
彼が其時浴びる朝の豐富にして健康な世界一ぱいの日光

どこかで鷄が鳴いてゐる
ああ睡い
ぶつ倒されるほど睡い
自分はへとへとにつかれてゐる
ねかしておくれ
ねかしておくれ

そして自分の此の手を
指をそろへて此の胸の上で組ましておくれ
しかし私に觸つてはいけない
私はひどくけがれてゐる
たつた一とこと言つてくれればいい
誰でもいい
全人類にかはつて言つておくれ
何《なん》にも思はず目を閉ぢよと
それでいい
それでいい
ああ睡い
これでぐつすり朝まで寢られる

  朝あけ

朝だ
朝霧の中の畑だ
蜀黍《たうもろこし》とかぼちや[#「かぼちや」に傍点]、豆、芋
――そして
わたしは神を信ずる──
まだ誰も通らないのか
此の畑なかの徑《こみち》を
わたしの顏にひつかかり
ひつかかる蜘蛛の巣
その巣をうつくしく飾る朝露
此のさわやかさはどうだ

――いまこそ
わたしは神を信ずる

 ※[#ローマ数字10、1−13−30]


  生みのくるしみの頌榮

くるしいか
くるしからう
いまこそ
どんなに此のくるしみがしのべるか
おんみは人間の聖母
じつとこらへろ
人間の強さを見せて
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