であることを信じろ
それを確く

  大鉞

てうてうときをうてば
まさかりはきのみきをかむ
ふりあげるおほまさかりのおもみ
うでにつたはるこのおもみ
きはふるへる
やまふかくねをはるぶなのたいぼくをめがけて
うちおろすおほまさかり
にんげんのちからのこもつたまさかり
ああこのきれあぢ
このきのにほひのなまなましさ
ひつそりとみみをすましたやうなやまおく
やまやまにはんきやうして
てうてうときのみきにくひいるまさかり
おほまさかりはたましひをもつ

  一本のゴールデン・バツト

一本の煙草はわたしをなぐさめる
一本のゴールデン・バツトはわたしを都會の街路につれだす
煙草は指のさきから
ほそぼそとひとすぢ青空色のけむりを立てる
それがわたしを幸福にする
そしてわたしをあたらしく
光澤《つや》やかな日光にあててくれる
けふもけふとて火をつけた一本のゴールデン・バツトは
騷がしいいろいろのことから遠のいて
そのいろいろのことのなかにゐながら
それをはるかにながめさせる
ああ此の足の輕さよ

  記憶について

ぽんぽんとつめでひき
さてゆみ[#「ゆみ」に傍点]をとつたが
いつしか調子はくる
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