+云」、第3水準1−14−87]《い》つた
お月さんは
美味《うま》さうでもねえなあ

  おなじく

こどもはいふ
たくさん頭顱《あたま》を
叩かれたから
それで
大人《おとな》は悧巧になつたんだね

  おなじく

篠竹一本つつたてて
こどもが
家のまはりを
駈けまはつてゐる
ゆふやけだ
ゆふやけだ

  おなじく

こどもが
なき、なき
かへつてきたよ
どうしたのかときいたら
風めに
ころばされたんだつて
おう、よしよし
こんどとうちやんがとつつかまへて
ひどい目にあはせてやるから

  馬

たつぷりと
水をたたへた
田んぼだ
代《しろ》かき馬がたのくろで
げんげの花をたべてゐる

  おなじく

馬が水にたつてゐる
馬が水をながめてゐる
馬の顏がうつつてゐる

  おなじく

だあれもゐない
馬が
水の匂ひを
かいでゐる

  ゆふがた

馬よ
そんなおほきななりをして
こどものやうに
からだまで
洗つてもらつてゐるんか
あ、螢だ

  朝顏

瞬間とは
かうもたふといものであらうか
一りんの朝顏よ
二日頃の月がでてゐる

  おなじく

芭蕉はともかくも
火をこしらへて

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