雲
山村暮鳥
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)大《でつ》かい
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|塊《かたまり》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+云」、第3水準1−14−87]
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序
人生の大きな峠を、また一つ自分はうしろにした。十年一昔だといふ。すると自分の生れたことはもうむかしの、むかしの、むかしの、そのまた昔の事である。まだ、すべてが昨日今日のやうにばかりおもはれてゐるのに、いつのまにそんなにすぎさつてしまつたのか。一生とは、こんな短いものだらうか。これでよいのか。だが、それだからいのちは貴いのであらう。
そこに永遠を思慕するものの寂しさがある。
ふりかへつてみると、自分もたくさんの詩をかいてきた。よくかうして書きつづけてきたものだ。
その詩が、よし、どんなものであらうと、この一すぢにつながる境涯をおもへば、まことに、まことに、それはいたづらごと[#「いたづらごと」に傍点]ではない。
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