になるといいわ。屹度《きっと》わたし、時間に間に合うようにして上げるから。」
「第一、具合はどうなんです?」
「いいのよ。とてもいいの。みんな、あなたのおかげだわ。いうまでも無いけど……」
 彼女はそういって顔を伏せるようにした。眼が熱くなって来たからであった。
「それはいいね。僕の方の、機関庫の中の組合も、うまく纏《まと》まりそうなんです。裏切り者が出ずに、これがうまく纏まると、素晴らしいんだ。あなた等なんかの場合の解放運動は、すぐ代わりの人間が出来るので、なかなか難しいそうだが、僕等の組合は、出来てしまえば、そりゃ強いよ。僕等は、長年の経験で初めて仕事の出来る技術工だから。実際、僕等の揚合は、代わりの人間がすぐ間に合わないんだから、そりゃ強いよ。」
 吉田は、機嫌よくそんなことを話して聞かせたりした。
「ほんとに、そうなるといいわね。」
「なるよ。あなたも、少しの間だから我慢してるんだね。僕が、もっと給料が上がれば、もっとどうかするから。併し、僕は他の人が来ることを焼いていうんじゃないですよ。」
「わかってるわ。せっかくよくなって来ているのに、いくら困ったって、そんな馬鹿なことはし
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