機関車
佐左木俊郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山脈の裾《すそ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)町|端《はず》れ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》りながら
−−
一
その線は、山脈に突き当たって、そこで終わっていた。そしてそのまま山脈の貫通を急がなかった。
山脈の裾《すそ》は温泉宿の小さい町が白い煙を籠《こ》めていた。停車場は町|端《はず》れの野原にあった。機関庫はそこから幾らか山裾の方へ寄っていた。温泉の町に始発駅を置き、終点駅にすることは、鉄道の営業上から、最もいい政策であったから。
終列車を牽《ひ》いて来た機関車はそこで泊まった。そして翌朝の最初の列車を牽いて帰って行った。
終列車の機関車には、大抵《たいてい》、若い機関手が乗って来た。そして同じ顔が、五日目|毎《ごと》ぐらいの割に振り当てられていた。それは若い独身の機関手達の希望からであった
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