》き候。太守樣にも至極御氣張り被[#レ]遊候御樣子も被[#レ]伺申候。又此上御|煩《わづらひ》重《おもり》候ては、誠に暗《やみ》の世の中に罷成儀と、只身の置處を不[#レ]知候。只今致方無[#二]御座[#一]、目黒の不動へ參詣致、命に替て祈願《きぐわん》をこらし、晝夜|祈《いのり》入事に御座候。熟《つら/\》思慮《しりよ》仕候處、いづれなり奸女をたをし候外無[#レ]望時と伺居申候。御存の通り、身命《しんめい》なき下拙《わたくし》に御座候へば、死する事は塵埃《ぢんあい》の如く、明日を頼まぬ儀に御座候間、いづれなり死の妙所を得て、天に飛揚致、御國家の災難を除き申度儀と堪兼候處より、相考居候儀に御座候。心中御察可[#レ]被[#レ]下候。實に紙上に向て、此若殿樣の御儀申述難く、筆より先に涙にくれ、細事に不[#レ]能[#レ]及候。眼前奉[#レ]拜候故、尚更難[#レ]忍、只生きて在るうちの難儀さ、却て生を怨み候胸に相成、憤怒にこがされ申候。恐惶謹言。
八月二日[#地から2字上げ]西郷善兵衞
福島矢三太樣
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(按)翁の始て江戸に出づるや、四月庭方役となり
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